『ファーストペンギン』
長岡さんの月3万で漁業の窮状を何とかしてほしいというお願いもすごいですが、それを受けた坪内さんもすごいです。これがすべての始まりですから、とてもすごい運命的?出会いだったのでしょうか。坪内さんはそもそも漁業のことがあまりわからない状況で、窮状を何とかしようというのですから肝が座っています。当時の心境をうきうきしていたとありましたが、何かが変わる予感があったのでしょうか。
法律やルールには時代や状況にそぐわないものもあるでしょうが、誰かが不都合がないと言わない限り、何も変わらないのが実情でしょう。変えなければいけない時も変えたい側と変えたくない側が必ず存在します。萩大島の漁師さんが年間に3カ月の禁漁期間があったり、1隻の漁船につき1漁期に1漁法しかできないなどは誰のためのルールなのか不思議になります。漁師さん、漁協、消費者のだれの得があるのでしょうか。大きな抵抗勢力があるもあきらめず、『ファーストペンギン』たる坪内知佳さんの戦いはここから本格的に始まります。
漁師さん、漁協、消費者の三方よしの『萩大島船団丸』の6次産業化事業プランを作るまでの道のりも大変だったでしょう。三方よしを深く理解するには、仲間になりきらないとできないことでしょう。長岡さんたちとの口喧嘩はたえなく、『漁協を怒らせて、わしらをつぶす気か』、『お前はよそものだから、そんなことが言える』などは言われては情けないやら、むかつくやらの感情になります。
それでもここまでやってこられたのは、漁師たちのよい人間性だったのでしょうね。東日本大震災でも長岡さんは助けに行こうと言い出したとあります。人間として信用できるから本気でぶつかることもできるのでしょう。こういう人たちがいったんまとまるとこんな心強い仲間はいないでしょう。
これからもまだまだ、やるべきことは多いでしょうがみんながよくなる方向であれば、どんどん前に進むでしょう。かなり、熱い思いで読まさせていただきました。